
梅干し作りの仕上げとして欠かせない「土用干し」。数日間天日で干すことで、風味が引き締まり、保存性も高まる大切な工程です。
昔から梅雨が明けた「土用の頃(7月下旬〜8月初旬)」に行うのがよいとされ、殺菌・保存性アップ・味の引き締めに効果があります。
とはいえ、近年の猛暑や乾燥した気候では、「三日晩干す」と梅がカラカラになりすぎることも。しっとり柔らかい梅干しが好みの方には、今の気候に合わせた“現代版の干し方”が向いています。
この記事では、梅を干す時期の目安や基本の干し方、しっとり仕上げるコツを、実体験も交えてご紹介します。
梅を干す時期の目安はいつ?|時期の目安と天候の見極め
土用とは?|「土用の丑の日」との関係も
「土用(どよう)」とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前にあたる、約18日間の季節の節目を意味する言葉です。とくに夏の土用(7月20日頃〜8月初旬)は、気温が高く、晴れの日が多くなる時期として知られています。
この期間に訪れる「土用の丑の日」は、ウナギを食べる習慣で有名ですが、実は梅干し作りにおいても重要なタイミング。昔からこの時期に梅を干す「土用干し」が習わしとされてきました。
土用干しの理由|なぜ「干す」の?
梅を干すのは、昔から「土用(7月20日頃〜8月初旬)」の晴れた3日間がよいとされています。これは梅雨明けで湿気が少なく、日照時間が長くなる時期で、水分が抜けて乾くことで、日持ちしやすくなり、日光の力で清潔に保てるからです。
梅を天日に干すことで、
- 梅雨が明けて晴天が続きやすい
- 日照時間が長く、乾燥が進みやすい
- 高温・低湿で雑菌が繁殖しにくい
この時期の天日干しは欠かせない工程なのです。
「三日三晩」は昔の話?現代版・干し方のポイント
「梅干しは三日三晩干すもの」と聞いたことがある方も多いでしょう。でも、実はこれ、昔の気候に合ったやり方。
現代では日差しが強く、気温が高いため、干しすぎてカラカラになるリスクが高いです。
しっとり柔らかく仕上げたいなら、「観察しながら干す」スタイルがおすすめです。
比較でわかる!昔と今の土用干しの違い
項目 | 昔ながらの方法(3日3晩) | 今どきの方法(しっとり仕上げ) |
---|---|---|
干す日数 | 晴れの3日間+夜も干しっぱなし | 1〜2日+様子を見て調整 |
夜間の対応 | 夜露に当てる(取り込まない) | 夜は室内に取り込む or 梅酢に戻す |
梅の仕上がり | カラカラ、保存性重視 | ふっくらしっとり、味と食感重視 |
干しすぎのリスク | 高い(昔より気温・日差しが強い) | 様子を見て調整することで低減可能 |
取り込みの目安 | 「三日三晩」が目安 | 表面が乾いたら早めに取り込んでもOK |
こんな人におすすめ | 長期保存・酸味しっかり派 | 柔らかい梅干しが好き・家庭用で楽しみたい派 |
私の実体験:干しすぎた年と、しっとりに成功した年
2020年、はじめて「三日三晩」干した年は、梅が硬くなってしまい失敗。夏場は干すと、ちょっと目を離した隙に、乾燥し過ぎることがあります。
翌2024年は、2日目で取り込んで、しっとりふっくら梅干しに。夜は室内に取り込み、または梅酢に戻し、朝から再度干すスタイルが私にはちょうどよかったです。
また別の年には、1晩だけ夜露にあててそのまま干し、翌朝に1度ひっくり返してから夕方に取り込む、”1晩2日”のパターンも試しました。どちらも仕上がりが柔らかく、風味もしっかり残っていておすすめです。

梅を干す条件とチェックポイント
晴れが続く3日間がベスト
梅干しを干すときは、「何日間干すか」よりも「いつ取り込むか」が大事です。昔は「晴れが続く3日間がベスト」と言われてきましたが、現代の夏は気温や日差しが強すぎることも多く、干しすぎるとカラカラになってしまうことも。
そこで今は、「2日間の晴れ予報+様子を見て調整する」くらいがちょうどいい目安です。
- 湿度が低く、風通しがよい日が理想
- 1日目で表面が乾き、2日目でしわが出てきたら取り込んでもOK
- 天気が不安定な日は無理せず延期も選択肢に
また、昔は「夜露に当てると美味しくなる」とされていましたが、夜間の気温や湿度が高い近年では、夜は取り込むか、梅酢に戻す方法が安心です。
干す日の選び方|湿度と風もチェックしよう
気温だけでなく、湿度や風の状態も、干し加減に影響するポイントです。
- 湿度が低く、風がやさしく吹いている日は、梅がふっくらしながらもほどよく乾きやすいです。
- ただし、風が強すぎると乾燥しすぎるので要注意。
- 天気が急変しやすい日は、無理せず見送るのが安全です。
「乾かすこと」よりも「ふっくら感を残すこと」を意識して、柔軟に干す日を選びましょう。
梅の干し方|土用干しの準備と手順|道具・スケジュールもチェック
◎必要な道具
- 竹ざる/干し網(吊り下げ式がおすすめ)
- 清潔な菜箸・おたま
- 消毒(食品用アルコールスプレーなど)
- クッキングシート
- 保存瓶(煮沸消毒済み)
◎干し方の手順
- 梅酢からそっと取り出す(潰さないように)
- ザルに重ならないように並べる、ざるに張り付く、梅酢の色がつくのを防止するためにキッチンペーパーを敷く
- 日中は天日で干す
- 夜は室内に取り込む or 梅酢に戻す
- 翌日も朝から干し始める、同様に繰り返す
- 表面がしっかり乾いたら完了
赤じそや梅酢も一緒に干す
赤じそは絞って干せばふりかけに。梅酢も1日天日に当てると安心。





梅を取り込む目安
- 表面にしわが寄り、やや乾いた状態
- 白い塩の結晶(塩ふき)が出る前に取り込むのがベスト
3日間のスケジュール例 初心者にもわかりやすい目安
日数 | 朝 | 昼〜夕方 | 夜 |
---|---|---|---|
1日目 | 梅を干し始める | 朝10時頃に途中で上下を返す(梅の皮の剝がれ防止) | 梅酢に戻す(酸で殺菌) |
2日目 | 朝から梅を再び干す | 上下返す(午前~午後あたり) | 梅酢に戻す or 外に干したまま |
ここで程よく水分が抜けてしっとりやわらかい状態ならこれで終了でもO.K | |||
3日目 | 最後の仕上げ干し(風通しの良い陰干しも可) | 表面がしっかり乾けば完了 | 保存容器へ移す |
どこかのタイミングで、梅酢が入った瓶にも1日日光をしっかり当てて、殺菌しておくと安心です。
そして、干し終えた梅干しと赤じそは、あらかじめ消毒しておいた保存瓶に戻して保管します。
梅酢にくぐらせて戻したり、梅酢に浸かるように保存しても可。(しっとり派はこちら)
私は保存は、冷蔵庫に保存します。
干した直後から食べることもできますが、塩味や酸味がなじんでまろやかになるのは3ヶ月〜半年後。じっくり寝かせるほど、味に深みが増してきます。
ひと工夫でさらに美味しく|土用干し中に気をつけたいポイント
- 上下を返すタイミング:ひっくり返す時は日中より朝や夕方に行うほうが、ザルに梅干しが張り付きにくくなります。
- 途中で雨が降った場合:すぐに取り込み、キッチンペーパーで水分を拭き、梅酢に戻して中断しましょう。
- 破れた梅:乾きが早いので、ほかの梅と分けてびんに保存するのがおすすめです。
おすすめの干し網・保存容器|実際に使ってよかったアイテム紹介
土用干しを快適に、そして失敗なく進めるためには、道具選びも重要なポイントです。ここでは、私自身が使ってよかったアイテムを中心にご紹介します。

【1】梅干し専用の干し網
ザルは通気性がよく、日差しを浴びても熱くなりにくいので、梅干しづくりにぴったり。竹に抗菌効果もあるそうです。

【2】梅干し専用の干し網(3段タイプ)
- ✅ 通気性抜群で乾燥効率アップ
- ✅ 虫除けネット付きで安心
- ✅ ベランダや屋外で使いやすい吊り下げ式
ベランダや軒先で干したい方におすすめ。網の目が細かいので、ゴミなどがつく心配が少ないのもメリットです。折りたたみできて収納場所にも困りません。

【3】ガラス製保存瓶(1L)
- ✅ 匂い移りしにくく、密閉性が高い
- ✅ 中身が見えるので管理しやすい
- ✅ 長期保存にぴったり
完成した梅干しは、できるだけ空気を遮断して保存するのが理想。密閉タイプのガラス瓶なら、劣化やカビのリスクをグッと減らせます。

【4】梅布
- ✅ ザルへの張り付き防止
- ✅ 小梅・大梅どちらもきれいに干せる

よくある質問(Q&A)
Q1. 土用を過ぎても干せますか?
A. はい、大丈夫です。
晴れの日が3日続くタイミングがあれば、9月でも干すことができます。大切なのは「湿度が低く、風通しの良い日を選ぶ」こと。気候が安定していれば、土用の時期にこだわらずに干せます。
Q2. 梅干しは夜も外に干していいですか?
A. 基本的にはNGです。
夜露によって紫蘇や梅が少ししっとりし、日中のカラカラ乾燥による硬化を和らげます。
「夜露しっとり仕上げ」は梅干しづくりの一部で取り入れられる手法ですが、リスクもあるため天候や場所を見極めて行うのがベストです。
Q3. 梅が破れていたけど干しても大丈夫?
A. 軽い破れなら問題ありません。
ただし、破れた部分から水分が早く抜けるため、他の梅より先に乾くことがあります。干し時間を少し短めにしたり、傷んだ部分に注意しながら保存しましょう。
Q4. 土用干しの時の、梅干しを取り込む目安は?
A. 梅全体にしわができて、表面が軽く乾いた状態が取り込みのサインです。2日でふっくら仕上がるようなら、そこで終了してもOK。
強い日差しに当てすぎると、果肉内の塩分が表面に浮き出て、白い粉(塩の結晶)になることがあります。これは乾燥しすぎのサインで、梅酢に戻すと必要以上に梅酢を吸ってしまう原因にもなります。
塩がふく前に、しわ+ふっくら感のある柔らかい状態で取り込むのが、しっとり梅干しを作るポイントです。
→ しわが寄ってきたらOK。塩ふき前に取り込むのが◎。塩がふく前に、梅干し全体にしわができて程よく干しあがっていればいいです。三日三晩にこだわらず、2日で取り込んでも構いません。
まとめ|梅を干す時期 準備を整えて、梅しごとを楽しもう
昔ながらの知恵も大切ですが、現代の気候に合わせた“やさしい干し方”こそ、理想の梅干しへの近道。
今年はぜひ「観察しながら」「2日で仕上げてもOK」な、しっとり仕上げを試してみてくださいね。
この記事を参考に、今年はあなたも土用干しにチャレンジしてみてくださいね。
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