ジブリの新作「君たちはどう生きるか」を見てきました。宮崎駿監督のラスト作品であることなど色々と注目を集めています!
さっそく初日に見てきましたが、一言でいうと王道のジブリ作品だなと思いました。特別な新しさはありませんが奇をてらったところもなく落ち着いて映画の世界を楽しめる作品でした。
ネタバレとなる考察となりますが、公開から一定程度の期間が経ちましたので、映画を見られた方向けに考察記事を書きたいと思います。
そんな「君たちはどう生きるか」の中の疑問点を少し深堀り考察です。
声優で出演した菅田将暉さんと、主題歌の米津玄師さんの対談「僕たちはどう生きるか」↓
製作の裏話や作品に関することなど、のんびりした雰囲気の対談です。
ジブリ新作 君たちはどう生きるか
あらすじ
時は第二次世界大戦の真っただ中。戦火のシーンから始まります。そこは火の「赤」一色の世界です。
そこから疎開先へ舞台は移ります。こんどは「みどり」の世界です。
父親は軍事産業にかかわっていて羽振りがよいです。そんな父親を少し冷めた目でみている少年が主人公です。
疎開先の屋敷には、だれも足を踏み入れない入口が閉鎖された塔がたっています。
そして、一匹のアジサイ。
不思議な物語はここを舞台としてはじまります。
そして導かれるように、新たな世界へ。
監督:宮崎駿
君たちはどう生きるか 疑問点と考察
「君たちはどう生きるか」の疑問点について考察します。
今回紹介するのは下記の「5つ」。
以下、ネタバレ含みますので注意ください。
- 眞人はなぜ自分で頭をなぐってけがをした?
- 夏子が森にはいっていったのはなぜ?
- お母さんはなぜ少女?なぜ眞人が自分の子だとわかったの?
- アオサギは何者?なぜ現実の世界でもただのアオサギにならない?
- あの世界はなくなったの?なくなるとどうなる?
考察①眞人はなぜ自分で頭をなぐってけがをした?
眞人は学校の帰り道で同じ学校に通う同級生たちと出会い喧嘩になります。車で学校に乗り付けるような金持ちの眞人を妬ましく思う同級生たちとのいざこざです。
喧嘩のあと、ひとりになった時に、石を拾って自分の頭を殴り、大けがとなります。
なぜ、そんなことをしたのでしょうか。自分で自分を傷つけることは、心も傷ついており深い闇を抱えているということです。
眞人は、母親を失ってから、自分でもわからない何か、深い闇を抱え続けていたのではないでしょうか。
目に見えない漠然とした不安といら立ちのようなものを喧嘩にぶつけてみたものの、結果的に何も変わらなかった。
それならばと、自分で自分を傷つけたのではないかと思います。
恵まれた環境の中で育ち、自分の中に生きているという実感もない。そんな眞人が生きている実感を求めて無意識ではあっても動き始めた瞬間ではなかったかと思います。
考察②夏子が森にはいっていったのはなぜ?
夏子が森に入っていくシーンが描かれています。自ら入っていったというより、森に呼び寄せられたという感じに見て取れました。
森に入れば愛する旦那様やお屋敷の人たちに心配をかけますから、自分の意志で森に入ったとは考えられません。
それよりももっと強い何かが夏子を呼び寄せたと考える方が自然です。
森にある塔は下の世界につながっています。下の世界とは現実の世界に生まれる前の世界です。
そこは雲隠れをした大叔父がコントロールする世界であり、血族が後を継ぐ予定の世界。夏子のお腹の子もその権利を持つ子供です。下の世界からすれば大切な跡取り候補であるわけです。
しかしながら、夏子は姉の死、姉の子である真人との関係などを抱え床にふせってしまいました。
それを見ていた、下の世界が自らの意志と力で夏子さんを呼び寄せ、石の力で元気な子供を産ませようとしたのではないでしょうか。
考察③お母さんはなぜ少女?なぜ眞人が自分の子だとわかったの?
真人のお母さんはヒミという名で下の世界に暮らしていました。
少女の姿をしているのは、お母さんが少女時代にこの世界にやってきているからですね。この世界は現代とは違った時間軸が存在しています。
お母さんも大叔父の血筋ということで何かをきっかけにして下の世界に呼び寄せられたのだと思います。呼び寄せられたヒミは火を操り下の世界のために働いています。
ここまではわかるのですが、ヒミが真人が自分の子供であることや夏子が自分の妹であることを認識しているのはなぜかということが疑問に感じた方も多いと思います。時間軸では、ヒミの少女時代よりずっと後のことばかりなのですから。
これは、夏子からいろいろと話をきいたのだと思います。姉に再開した夏子は姉が火事で死んでしまうことを伝えたのではないでしょうか。伝えることで姉を救えると考えて。
でも、過去を変えてしまうことは、全てが変わってしまうことです。夏子も眞人のお父さんと結婚することもなかったでしょうし、眞人が疎開してくることもなかったわけです。
つまり、過去は変えられない。
そのことをヒミは子供でありながら、毎日、「生」と対峙する生活の中で肌でわかっていた。この世界で、生きてきたからこそ「生きる」ということが全てつながっていることだということが理解できていた。
だから、眞人に会ったときにも普通でいられたし、最後には、自らの意思で、もとの世界に戻っていったのだと思います。
考察④アオサギは何者?なぜ現実の世界でもただのアオサギにならない?
今回の映画でサブキャラでありながらもうひとりの主人公ではないかと思ったのがアオサギです。
アオサギは不思議な存在です。下の世界と現実の世界をいったりきたりし、両方を知る存在です。
アオサギではありますが、顔はあきらかに人間です。ちょっと面白い顔ですが。
インコたちがインコのまま人間化しているのと明らかに違いがあります。アオサギは何者なのでしょうか。
アオサギはペリカン達のかなしい宿命も知っていました。大叔父との面識もあるようでした。ただのアオサギでない。人間でもない。これらのことから、アオサギは下の世界にもともといた住民なのではないかと思います。
インコやペリカンがもともと人間の世界いからきたものであるのに対して、下の世界にもともといた存在。だから、全てを知っており、大叔父から人間の世界の偵察を任されていたと思われます。
異世界でただひとりで偵察という任務をこなすのはさみしい限りだったことと思います。
そんなアオサギが眞人と接していく中で少しずつ、人とのふれあいを学び、それぞれに友情が芽生えていくのは、眞人以上にその成長というのを感じました。
考察⑤あの世界はなくなったの?なくなるとどうなる?
ラストでは下の世界が完全に崩壊していくようなシーンが描かれました。
では、下の世界はなくなったのでしょうか。
下の世界とは生前の世界で、今の世界の根本ともいうべき世界です。生前の世界がなくなれば今の世界に何も生まれてこなくなるということですから、なくなることはないはずです。
今回の崩壊は下の世界と今の世界をつなぐ「塔」が壊れ、「塔」の機能が失われたという感じだと思います。
隕石のように空から落ちてきた「塔」によって下の世界への入り口が開かれ、そこに導かれていった大叔父。下の世界は宙に浮いている岩があるなど、とても不安定な世界で、つながれた通路を守るのが大叔父の役目だったのでしょう。
その役目をつがせたがった大叔父ですが、眞人は断ります。それは、この塔を守ることが何も生み出さないと感じたからではないでしょうか。実際に自分のお母さんは結局火災で死んでしまうのです。
だから、下の空想のような世界よりも現実である今の世界でしっかりと生きていこうと思ったのだと思います。
眞人は自分が神のように自在に操れる世界ではなく、争いや理不尽があろうとも現実の今の世界で友人とともに生きていくということを選んだのです。
以上、「君たちはどう生きるか」の疑問点と考察でした。
8月9日に映画のサウンドトラックが発売されます↓もちろん久石譲さんです。
まとめ
冒頭でも書きましたが、今回の作品は、王道のジブリ作品であるとともに、新たなスタートも感じさせる作品であると感じました。
もともとジブリの作品は日本的な紙芝居のような絵と物語りというイメージでした。それが近年は少し方向性を見失っているように感じていました。
それに対してジブリはこれからもこれでいくよ、というのをみせてくれたように感じます。
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