もの書く人の傍らにはいつも猫が。東京下町に暮らす小説家・山口恵以子さんの何気ない日常のドキュメント。エッセイ朗読は広末涼子。
自らの経験から生まれた食堂を舞台とする人情物語、女性の生き様を描く歴史小説などで人気の小説家山口恵以子。「食堂のおばちゃん」「婚活食堂」シリーズが有名です。
保護猫の「ボニー」と「エラ」、そして「タマ」の三匹と兄と暮らします。執筆に、一緒に暮らす兄の介護に、三匹の世話に、と気ぜわしく過ぎ行く一日でリラックスできるのは晩酌のひと時。今夜も愛猫相手に盃を交わします。
「もの書く人のかたわらにはいつも猫がいた」はじまりです。
作家 山口恵以子さんとは(番組外情報)
2013年、戦時下の上海を舞台に財閥令嬢の恋愛を描いた『月下上海』が、「松本清張賞」に輝いた。作者は40代から作家を目指し、食堂で働きながら執筆活動を続けた50代の女性ということで物語性に富んだ経歴に世間は沸きました。
「当時は、方々で『食堂のおばちゃんが苦節25年で夢をかなえた』と書かれました。実際には苦労も挫折もありませんよ。私の人生には『物語を創る』という糸があり、それを引っ張り続けたら賞にたどり着いた。それだけの話ですから」。山口恵以子さんは淡々とした口調で当時を振り返りました。
食堂のおばちゃんから50代で作家に
幼少期の趣味は、漫画や映画のサイドストーリーを考えること。大学3年生の時、漫画家を目指し、就職した後も絵の訓練に励んだが、仕事との両立はできず断念。
再び創作に向き合ったのは30歳を過ぎたとき。脚本家を目指してシナリオ学校に入学。学校修了後、派遣で働きながらプロットライターを続けて約10年。気付けば40代前半。次のステージとして、自然と小説家に目が向いた。
執筆活動に打ち込むため、44歳のとき、安定した収入と時間を得るため食堂に転職。
2011年、運命の出合い。新聞のテレビ欄で偶然見掛けた「上海の伯爵夫人」というタイトルに物語の着想を得て、半年かけて『月下上海』を創作。松本清張賞選考委員の北村薫氏に「他を圧倒した横綱相撲」と言わしめる出来栄えだった。
受賞を機に複数の出版社から声が掛かり、作家活動に専念することになる。
猫の「ボニー」「エラ」「タマ」
登場ねこ
○ボニー 白ねこ 保護ねこ
○エラ 黒ねこ 保護ねこ こわがり キーボードの上を歩くのが好き
○タマ クロネコ 捨て猫か迷いネコ 近所で保護 だみ声 ちょっと狂暴
我が家の猫は3匹。 ボギー、エラの順でやってきた。最後にきたのは2018年に保護したクロネコたま。タマは年齢不詳。保護する2年前から近所でみかけていた。人懐こいこのクロネコが心配でいつも気になっていた。そして1週間餌付けして捕獲して動物病院へ。タマには避妊手術のあとがあり飼い猫とわかった。
ねことの暮らし
爪切りバトル

エラちゃんのつめきり。意外とおとなしい。
それをみているボニー。あわてて逃げるボニー。2階へ逃げます。相当にいやそうです。
人が上にいくと下へ、下へ降りると上へ。巧みな逃げ方です。おいかけっこ。結局はつかまるボニー。やめてくれと鳴くボニー。おわるとしっぽをまいて逃げました。
3匹の勢力争い
タマは家にくるともとの2匹を威嚇してまわった。タマは2匹よりちいさかったが、小さいタマが喧嘩に勝ち続けた。やはり、野良猫だったタマに家猫のボニーとエラでは歯がたたない。
そんな日が続いたある日、堪忍袋が切れたボニーが怒ってタマを流血させた。それ以後、タマは別の部屋で3年間引きこもり生活。今は部屋にでてこれるようになりリビングでふんぞりかえっている。
山口さんの願いは「この3匹は仲良くしなくていいので共存してほしい。それだけが願い。」
タマは我が家にきて4年が過ぎ少し丸くなった。タマが野良猫を卒業をして家猫になる日は近いのかもしれない。
作家 山口恵以子さんの言葉
・猫ネタを小説やツイッターのネタで使っている。そんな貢献がある。
・原稿書いていればそこにくるし、テレビを見てればそこにくるし、金魚のフンのようについてくる。猫がいろんなことをやらかすから笑えるんですよ。
・毎日かかすことのない晩酌。飲んでいる時は猫たちは邪魔をしない。(ボニーに話しながらお酒を飲みます。)
・小説家としては遅咲き。子供のころ、小説を読んだりまんがを読むと幸せになった。そういう世界に行きたかった。
・小説なら年齢制限はない。私の中に一貫してあるのは物語をつくりたいという気持ち。
・プロットは設計図であって人に見せるものでない。小説は人にみせるもの。力がいる。書く前に力を込めないとダメ
・小説にかかせないのは「料理」。編集者とのうちあわせは新しいアイデアを生み出すチャンス。
・猫との暮らしは、あえて断言すれば理不尽にたえること。やってほしいことはやらない。やってはいけないことはやる。それでも猫のいない自由な暮らしと猫のいる不自由なくらしとどちらを選ぶかといわれたら、私は後者を選ぶ。というのも、我が家は老人ふたりで猫でもいないと笑いもない殺伐としたものになるから。猫は家庭の潤滑油なのだ。
最近のねこの寿命は20歳。自分の年齢を考えると今の3匹が最後の猫になるだろう。猫がいなくなったあと、一人で生きるのはさみしいので私の寿命にあわせてくれないだろうか。でもそれは無理な相談だろう。猫は人間の願望を無視する生き物だから。
感想
この番組は映像と音楽による空気感が良いですね。静かに時間が流れていく感じや日常をそのまま切り取っているような映像が好きです。
山口さんのたんたんとしたしゃべりが印象的でした。猫好きの人が良くいうことであっても、山口さんの言葉は、なぜか言葉のひとつひとつに心が反応しました。作家という人だけが持つ言葉の力なのでしょうか。
山口恵以子の作品を読んでみたくなりました。みなさんもいかがですか↓
放送を見逃した方は
NHKプラスで放送終了後1週間は見ることができますので、ぜひご覧ください。
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